週一の学術論文ニュースレター、今回はお金で幸せは買えるのかをテーマとした3回目として「年収$75,000以上でもウェルビーイングは向上する」という2021年の論文です。
この論文では、先行研究で示された年収$75,000以上では幸福度が頭打ちになる、という結論を覆し、幸福感と所得の関係には一定の水準による頭打ちは見られない、同様に正の感情も所得とともに増え続けるが負の感情は年収$75,000以上では減り具合が緩やかになる、ということが示されています。
どうやら金で幸福は買えるけど、不幸は解消できない、ということのようです。なんとも不思議な負の感情。お金の力に屈しないのは幸福ではなく不幸の方だったとは。そんな風に考えたこと、ありませんでした。
ということは、絶対的積極性とかポジティブシンキングが大事、ということがよく言われますが、むしろ大事なのは「負の感情」への向き合い方といえます。生まれたときから幸せな人がその後もずっと幸せに暮らしましたとさ、みたいな物語はあまりなく、不幸に生まれたけど最後は幸せになりましたとさ、と負が起点の物語が人気なのもきっと偶然ではないのでしょう。
そして、この論文では金で不幸は乗り切れないぞってことをいっています。そうなると、じゃあ、なんなんだ、という話になりますよね? そのあたりはまた改めて。