「人的資本の重要性を最初に指摘したのはアダム・スミスだ。人的資本という言葉は用いていないが個人の能力が経済発展の根幹にあり、モノよりもヒトに投資すべきであることを国富論で述べている。そしてゲーリー・ベッカーとジェイコブ・ミンサーがのちに人的資本という言葉を定着させた。人的資本を価値の源泉と捉え、その投資対効果を定期的に測定する企業は業績を向上させることができる。」
人的資本への投資がどのように企業価値につながっているか、人的資本ROIの可視化が問われています。ある意味で、人的資本ROIの可視化ロジックそのものが企業価値を生み出すモデルの根幹を示すことになります。戦略、ビジネスモデル、商品・サービスはすぐにコピーされあっという間にコモディティ化するので、この人的資本モデルこそが企業価値の源泉としてブラックボックス化されるのでしょう。
企業価値トップ企業を見ても企業価値の源泉として当然テクノロジーには積極的に投資していますが、それ以上に企業文化や人材への投資を企業価値に結び付けるモデルの確立と検証に注力しているように見えます。一足飛びにそうしたグローバルでの人的資本競争の最前線に踊りだすことを目指さないにしても、少なくとも売上の1%、できれば2%まで人的資本投資への予算を確保できるかどうかがまずはそもそも今後のグローバル競争で日本企業が生き残れるかどうかの分かれ道といえそうです。