ファミリービジネスの社会的貢献に関するメタ分析

週一の学術論文ニュースレター、前回はファミリービジネスにおける財務業績についての分析を見ましたが、今回は「ファミリービジネスの社会的貢献に関するメタ分析」という2018年の論文です。ファミリービジネスと非同族経営における社会貢献の違いを、約100の論文、36万社の企業データをもとにメタ分析しています。
 
分析の結果、ファミリービジネスだから必ずしも社会貢献が高いわけではなく、非公開で所有と経営が分離されていない場合には非同族企業に比べて社会貢献が高くなっていることが明らかにされています。公開/非公開、所有と経営の分離/非分離で、ファミリービジネスといっても様々な違いがありそうです。
 
所有と経営の分離は現代の企業経営のガバナンスにおいて疑いようのない大前提だと勝手に思いこんでいましたが、改めて考えてみたらアクティビストの台頭も所有と経営の統合を求める動きともとれるんでしょうか。日本には所有と経営を分離しない長寿企業も多いようですし。財務業績だけでなく社会貢献や永続性みたいなことまで考えると所有と経営を分離するのがつねに万能ということではどうやらなさそうです。
 
本論文を読んで、財務業績に加えて社会貢献も企業価値に大きな影響を与えることから、ファミリービジネスだけでなく非同族企業も含めて、ステークホルダー経営として各企業の最適な所有と経営=コーポレートガバナンスのあり方が昨今改めて問われているのだと遅まきながら腹落ちした次第です。

https://jinzaiikusei.substack.com/p/839

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