「『このポジジョンの報酬は$120,000から$160,000で競合よりも20%高い』、こんな採用広告を$128,000しかもらっていない社内の高業績者がみたら、たとえその金額が地域において高水準だとしても怒り出すだろう。報酬レンジ公開の義務化はすでにニューヨーク市で11月1日からはじまり、カリフォルニアでは来年1月1日から施行される。この法律の施行前は5社中1社も報酬レンジを公開していないため、法律施行に伴い疑問が噴出するだろう。市場の優秀な人材を惹きつけつつ、社内の怒りをかわないようにするバランスが問われる。そしてキャリアパスや育成機会を提供することも重要となる。なによりも公平性が大切だ。」
アメリカでの報酬レンジ公開が始まりました。仮に公開の義務化が進んだ場合、「お金」に対する関心がますます高まり、成長を望む人ほど転職・独立することで、価値を生み出す知見の流動化と個人化がますます進むのではないでしょうか。金融資本主義として設計されている社会ですからそうなっても不思議ではないでしょう。
そうなれば日本では報酬レンジの公開が当面されないとしても、アメリカ・金融資本主義プレゼンツ、チキチキ報酬マシン猛レースに参加できる人材の日本企業からの流出は避けがたいでしょう。しかしそれは一部のヒトで多くは「やっぱり結局はヒトだよね」という昔ながらの日本的な価値観、今風にいえば人的資本主義の世界に留まり続けるのではないでしょうか。そうだとしたらアメリカ・金融資本主義に伍して戦える日本・人的資本主義の世界をここからどのように確立すればよいのか、ということを考えなければならないのでしょう。どうしたらよいのでしょうか。
切り口はたくさんあると思うのですが、わたしは人材育成の観点から、管理職と経営職を明確に分けて認識し、金融資本主義に伍して戦える人的資本主義を実現できる経営職を育てることにあるのではないかと思います。金融資本主義の熾烈極めるチキチキ報酬マシン猛レースに参加できている日本人は一般職や管理職が大半で、残念ながら経営職で参加できている日本人は極々限られています。岸田政権の新しい資本主義の号令のもと人への投資、労働移動、リスキリングなど一般職や管理職の戦力化にはスポットライトが強烈に当たるようになってきているので、ここでさらに徹底的に鍛え上げられた経営職が加われば、日本の未来の舞台はとても明るいものになるのではないかと!!!
https://www.kornferry.com/insights/this-week-in-leadership/as-pay-is-revealed-will-conflicts-rise