週一の学術論文ニュースレター、今回は「経済成長は人を豊かにするのか?」という国家レベルでのお金と幸せの関係について掘り下げ、大きな波紋を呼んだ1974年の論文です。
こちらの論文では、各国のある時点での収入と幸福度には結び付きが見られるものの、同じ国の中で平均収入が上がっても必ずしも幸福度が上がらないことや、平均収入の異なる国間の比較では必ずしも平均収入が高い国の幸福度が高いわけではないという、この論文の筆者の名前をつけたイースタリン・パラドクスと呼ばれる現象を紹介しています。
国家レベルの議論なので企業レベルにそのまま適用できないにしても、日本企業で議論されている賃上げも、「以前よりも賃上げしたけど社員の幸福度は上がらない」「他社より賃上げしたけど社員の幸福度は上がらない」みたいな企業版イースタリン・パラドクスみたいな話、なくはないと思います。賃上げよりも個人の成長に投資したほうが筋の良いお金の使い方に思えるのは、単にわたしが人材育成に関わっているからなんですかね・・・