週一の学術論文ニュースレター、今回は「所得格差が大きいと所得と幸福度の相関が高くなる」というなんともネタバレなタイトルの小野先生等による2022年の論文です。こちらの論文では、米国、日本、欧州、南米の国際経年比較を通じて、所得格差が大きいほど所得と幸福度の結びつきが強くなるということを統計的に示しています。
この論文を読んで浮かんでくる次の質問は「それでは他者より所得が高いと感じやすいもので、それがあると幸福感につながりやすいものとは何か?」というものです。所得格差が生み出す相対所得の高さが、直接的に幸福感につながるわけではなく、それが生み出す何かが幸福感につながっていると仮定するとそれは何か、という問いです。
それは、もともと幸福度が高い人のほうが所得と幸福度の結びつきが強いという傾向とも関係していると思われます。つまり、それがあると幸福度を感じやすいものは何か、という問いにも置き換えられるかもしれません。「所得格差が生み出す相対所得の高さ→〇〇→幸福度」、「○○→幸福度→所得による更なる幸福度」の〇〇に入るものです。
わたしは〇〇に入るものは「感謝」ではないかと思います。有り難い、十分すぎる、これはこれでアリ、分相応、足るを知るなどなど、今に感謝できる人ほど、幸福度を感じやすくなるのではないでしょうか。もうそうであるならば、それはかなりの朗報です。なぜなら感謝する力は生まれつきではなく後天的に身に着けられるからであり、幸福を感じる力=後天的に身に着けられる力、ということになるからです。
感謝の力が幸福度につながっているという仮説(仮説というよりは願望に近いですが)はまたどこかで関連する論文を探してみたいと思います。とりあえず、これでお金で幸せは買えるか、というテーマについては一区切りさせたいと思います。自分で質問して自分で答えてではありますが、自分的にはめでたしめでたしな結論でした。